熟練職人による高い施工品質が強みです
茅加工
茅作りは葺き替え工事でとても重要な作業で、大変手間がかかります。茅は生えている場所の土の状態や日当たりにより、長いものや短いもの、細いものや太いものなど実にさまざま。この多種多様な茅を、まずは茅加工で選別していきます。細く真っ直ぐな茅は目がよく詰まるため屋根の角に使い、太く丈夫な茅は屋根の表面に使います。茅加工では、こうして8種類ほどの「切り茅」を作ることから始まります。
時期
現代の茅葺屋根の耐用年数は、15年前後といわれています。最初の5~10年ほどは丈夫で問題ありませんが、それ以上経つと数年に1度は、痛んだ部分に茅を差し込んでふさぐ「差し茅」という補修が必要になります。差し茅での対応が限界になると、いよいよ葺き替えになります。葺き替えは、まずはもっとも傷みやすい北側、そして南側と棟、東と西などと工事を分けて行ないます。
施工手順
1.茅加工
まずは茅作りです。生育している場所によって異なるさまざまな茅を選別し、使う場所ごとに8種類ほどの切り茅を作ります。
2.苔落とし
茅葺屋根全体を覆っている苔を落としていきます。メンテナンスとして苔を落とすこともありますが、葺き替えの場合は古い茅の廃棄の際に苔と混ざらないようにする工程になります。
3.解体
苔を取り除いたら、茅葺屋根から古くなった茅(古茅)を、下から順番に取り外していきます。しっかり詰まっていることに加え、水分を含んでいることからなかなかの重労働です。
4.軒付け
軒まわりへ新しい茅を葺いていくのが「軒付け」です。屋根全体の厚みや勾配がこの部分で決まるといっても過言ではありませんので、職人の腕が試される重要な工程です。
5.角付け
堅く真っ直ぐな材をかきつけて、その上に柔らかめの茅を並べ、それを挟み込むようにして角の材料を付けて行きます。
6.縄下平葺き
軒付けが終われば、屋根全体へと茅を葺いていく平葺き作業に入ります。茅どうしが重なり合わないように気を付けながら作業を進めていきます。
7.縄張り
茅と屋根をしっかり固定するため、茅をかき分けて縄を通します。葺かれた茅は意外と堅く、この作業は体力が勝負になります。
8.針下平葺き
茅一本一本が交わりの無いように真っ直ぐに並べたら、一番押さえの利くところで細く丈夫な竹で針をとって行きます。
9.針取り
押さえに使う竹を固定する縄は、外から竹針で突き刺して、屋根裏にいる職人が受け取ってそれを固定します。このことを「針取り」と呼びます。
10.押木締め
針取りで通した縄を、屋根裏の屋中竹にしっかりと縛り付けます。縄は囲炉裏の煙に長年さらされることで、さらに強靱になります。
11.槌入れ
押し鉾竹と針金で抑えた茅を雁木(がんぎ)という道具で屋根の形状にたたいて形作ります。
12.刈り込み(仕上げ)
茅葺屋根全体のカタチを整えるために、刈り込み鋏を使って茅の表面を切っていきます。心を込めたていねいな施工で美しく仕上げます。